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教えたいのは漆器を届ける感動

モノづくりに実直な親方が

「漆硝子」に託した未来への想い

長野県塩尻市|丸嘉小坂漆器店

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親方のこと

名前: 小坂玲央

職人名: 木曽漆器職人

地域: 長野県塩尻市

工房名: 丸嘉小坂漆器店

町のお気に入りスポット:
会社の裏手にある広場

木曽漆器の産地で店を構える三代目

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木とガラス。素材によって美しさが異なるのも、漆の魅力

木曽の山間の小さな町・木曽平沢は、400年以上の歴史をもつ木曽漆器の産地。
旧中山道沿いには漆器店が軒を連ね、古き良き情緒を残す町並みが続く。江戸時代から手厚く保護されてきた木曽谷の豊かな森林に守られながら、木曽漆器はその長い歴史を紡いできた。

その地で三代にわたり家業を継承する「丸嘉小坂漆器店」は、下地塗りの下請け工房として歩みを始め、大型家具の上塗りなどを経て、先代、そして現当主・小坂さんの代には、自社ブランドの製造・販売を行うまでに成長を遂げた。
「丸嘉小坂漆器店」といえば、木曽漆器の伝統技法とガラスを融合させた「漆硝子」と呼ばれる製品で知られる。この新しい技法と発想力は、漆器業界に新たな可能性を切り開いた。

「伝統や技法は受け継ぐことも大切ですが、時代に合わせた変化やチャレンジも必要」
そう語る小坂さんに、モノづくりへの想いと、職人に託す未来について聞いてみた。

ガラスに漆を焼き付ける新技法を開発

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焼き付けた時、色の質感はどのように変化するのか

「漆硝子」は、先代が1994年に長野県工業試験場(現長野県技術総合センター)と共同開発し、製造販売をした全国に先駆けた新しい漆器である。

「木製漆器は、自然乾燥によって漆を硬化させますが、漆硝子は高温で漆を焼き付け、ガラスに定着させる技法です。従来の上塗りとはまったく異なり、鮮やかな発色と、漆本来の透明感が際立つのが特徴です。先代の作品には、縄に漆を染み込ませて漆硝子と組み合わせるなど、発想豊かでモノづくりを楽しんだ様子が伝わるものが多く見られます」

“モノづくりを楽しむ”という姿勢は、三代目の小坂さんにも受け継がれ、「漆硝子」の技法をさらに磨き上げ、その柔軟な発想力から「hyakushiki 百色」「Jeweki」などのブランドを生み出した。

「ブランドを手掛けたことで、職人にモノづくりに大切なことを伝えやすい環境になりました。その中でも一番大切なのは、自身が作った製品がその先にどう使われていくのか、ということです」

「hyakushiki 百色」に込められた意味

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ワイングラス「萼(utena)」

ブランド名「hyakushiki 百色」は、かつて“百色眼鏡”と呼ばれた万華鏡にちなんで名付けられた。
華やかで、鮮やかで、透明感があり、色彩も豊か。
使うたびに艶を増す、重厚感のある漆器とは、技法も、表情の見せ方も対照的だ。

「漆器製品は、比較的年齢層の高い方に支持されることが多く、用途も限られがちです。そこで、もっと幅広い世代に漆器を身近に感じてもらいたいという想いから、このブランドを立ち上げました。アクセサリーブランド『Jeweki』という形での展開は、私たちにとっても大きなチャレンジでした」

ブランディングデザインは外部のデザイナーが携わり、各地の展示会にも積極的に出展。目の前で製品が売れる瞬間に立ち会える経験を積み重ねる中で、次第に手ごたえを感じるようになったという。

「職人にも、自分がつくったものをお客様が手に取り、選んでくれる姿を見てほしい。最終的にその製品が、どこに届けられるのか。モノづくりの先にある『誰かの暮らし』が見えることで、仕事への誇りややりがいにもつながるはずです」

木曽平沢へ人を呼ぶ、プラットホームに

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中山道沿いに立つ「丸嘉小坂漆器店」

木曽平沢には木曽漆器工業協同組合の加盟店は約65軒、実店舗を構える店も多い。現在、「丸嘉小坂漆器店」では実店舗をリニューアルし、カフェ併設ギャラリーを準備中だ。

「私たちの理想は、作り手が直接お客様に製品を届けられること。木曽平沢にはまだ飲食店が少ないため、より長く滞在して町をゆっくり巡ることができる環境を整えています」

小坂さんの言葉には、漆器産業の未来、後世へ受け継ぐ職人の想いがあふれている。

「今年から漆の苗木を育てる活動をはじめました。漆が採取できるまでには何十年という月日がかかります。けれど、漆の木が少なくなっている今こそ、資源の大切さを次の世代の若い職人たちにも感じてほしい。そんな想いで取り組んでいます」

現場で見て、学び、感じ取って欲しい

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会社から眺める木曽平沢の町並み

「丸嘉小坂漆器店」は漆工と木工の職人が7名在籍し、うち3名が20代である。

「この町に暮らす職人もいれば、塩尻市街や松本市内から電車で通う者もいます。皆、責任感が強く、どんな仕事にも真剣に取り組み、最後までやり遂げようとする姿勢を持っています。私たちから教えるのではなく、現場で経験を積みながら技法を身につけ、自分の力で技術を磨いてほしいと思っています」

伝統的な木曽漆器、革新的な漆硝子の両方に関われる環境は、職人にとって理想的で大きなやりがいでもある。

「職人に任せる部分が多いからこそ、自分で目標を持ってモノづくりに取り組める環境です。ただ、忘れてはいけないのは、『お客様の目線』を常に持つこと。視野を広く、何事にも前向きに取り組める職人になってくれることを期待しています」

おまけの話

中山道の宿場町・奈良井宿に隣接する木曽平沢。
町内にはコンビニが1軒あるが、日常の買い物はどうしているのだろうか?
「塩尻市街まで車で20分なので、週末にまとめて買い物にでかけます。そこまで不便ではありませんよ」
観光地として人気の奈良井宿にはカフェや飲食店もそろう。小さな町ではあるが、観光地のそばで市街地へのアクセスもよい。実はとても暮らしやすい町なのだと感じた。

取材・文章/稲垣あや 写真提供/有限会社丸嘉小坂漆器店

求人情報

工房名:有限会社丸嘉小坂漆器店

働き方:
フルタイム(正社員)

給与:
月給180,000円〜
※試用期間6ヶ月あり(試用期間中:月給170,000円)

勤務地:
長野県塩尻市木曽平沢1817-1

勤務時間:
8:30〜17:45 ※休憩1時間15分

仕事内容:
漆器職人

【入社後お任せする仕事】
下地・拭き上げ作業から、技能に応じて下塗り、絵付けを徐々に行なっていただきます。
その他、検品・梱包・発送作業、店舗での接客等、幅広く行なっていただきます。

福利厚生:
交通費: 10,000円を上限に規定に基づき支給
社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険)

休日休暇:
週休2日制(年間休日日数:112日)
夏季休暇
年末年始休暇
有給休暇

求める人物像:
経験は不問です。
責任感を持って仕事に向き合い、誠実に行動できる方を歓迎します。
私たちは、困難にも粘り強く取り組み、他者を思いやり尽くせる方と一緒に成長していきたいと考えています。
小さな会社ですので、社員全員が職種を跨いで様々な業務に関わっています。
変化する時代に柔軟に対応できる思考を身に付け、この業界で強く生き抜く会社を目指し、私たちと共に高め合い進める方のご応募を心からお待ちしております。

募集期間:
2025/05/23 〜 2025/07/17

採用人数:
1名

選考プロセス:
書類選考→1次選考(実技試験・面接)→最終面接→内定

・取得した個人情報は、採用選考にのみ使用します。
・選考プロセスは変更になる可能性があります。
・不採用理由についての問い合わせにはお答えできませんのでご了承ください。

その他:

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