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100年先を見据えて進化を楽しむ。

次世代に技をつなぎ

世界に挑む染職人

滋賀県東近江市|澤染工有限会社

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親方のこと

名前: 澤宏一郎

職人名: 染色職人

地域: 滋賀県東近江市

工房名: 澤染工有限会社

町のお気に入りスポット:
天空のパワースポット「太郎坊宮」

麻を知り尽くした染め屋の挑戦

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独特な風合いに染め上げる、伝統的な「かせ糸染色」

室町時代から麻織物の産地として有名な琵琶湖の東・湖東地域。澤染工では麻織物を中心に、様々な繊維の染色を行っている。糸を染める「糸染め」と、織りあがった布を染める「生地染め」の両方を手がけているのは、全国的にも珍しい。

「麻は天然繊維の中で一番染めるのが難しい」と話すのは、4代目の澤宏一郎さん。

麻は糸が切れやすく、染めたときにムラになりやすい。また夏に重宝される素材のため、汗や日光による色落ちの影響を受けやすい。そうした環境下でも美しく発色し、織屋さんが織りやすいような切れにくい糸をいかに提供できるかが腕の見せ所だ。

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創業以来90年以上受け継がれてきた麻の染色技術は全国屈指

「麻以外にも、多様な繊維や染め方にチャレンジしています。岡山県のインディゴ染や福岡県の久留米絣の絣染めなどもご依頼をいただき手がけてきました。麻とは全然違う染め方ですが、長年培ってきた技術があるからこそ、あらゆる素材や染め方にも応用できるんです」

澤染工では伝統的な「かせ染め」から先端技術を使ったものまで、現代のニーズに合わせた染色を提供している。染色技法の開発にも積極的に取り組んでおり、世界最高峰のテキスタイル展示会ミラノ・ウニカでは、独自開発の特殊染色が日本の10倍ほどの値段で注文がつくなど、世界でも注目されている。

「その人にしか出せない色」がある

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人の微細な感覚が、仕上がりを大きく左右する

澤染工には一流ブランドからの注文が後を絶たない。その理由の一つが、色の表情にある。糸や生地は機械で染めていくが、「人の手を加えると、全く品質が変わってくる」という。

「機械だけで大量生産しているところは単純な色しか出せません。でもブランドのデザイナーは、もっと深みのある色を求めています。いくら数値的に色が合っていても、彼らがダメって言ったらダメなんですよ」

発注された色を機械的に染めるだけでは足りない。たとえば春夏ものは、赤みのある色よりも冷たく見える色に仕上げた方が喜んでもらえる。

「だからデザイナーが実現したいファッションに必要な色の感覚を、僕らも持っていないといけない。これは経験を重ねるしかないですね」

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人の微細な感覚が、色に命を吹き込む

色合せは仕事の中で最も大変な工程。若い頃には夜も眠れないほど悩む日々を過ごしていたというが、その反面やりがいもある。

「デザイナーさんから『澤さんしか出せない色がある』と言われたことがあって。そんなことってあるんや、と感動しましたね」

「僕らが染めたものが1着80万のワンピースになっていたりする。自分たちが染めたものが世に出て手に取ってもらえるのは、すごく嬉しいですね。社員たちには完成品を見せるようにしていますが、それがやりがいになっているようです」

世界に届くものづくりを目指して

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試行錯誤を繰り返し、よりよい染色方法を模索し続けている

澤さんは大学卒業後の3年間、家業の澤染工とは別の繊維会社に勤めていた。

「その会社は特殊な染色技術を持っていたのですが、僕が染め屋の息子だと知っていたから、技術を知られたくなかったんでしょうね。僕だけ工場の立ち入りが禁止されていて。澤染工では扱っていないプリントの部門に配属されました」

そんな扱いを受ければ嫌になってしまいそうだが、「そんなことないですよ」と軽やかな答えが返ってくる。

「工場に入れない以外は自由な時間を過ごさせてもらいましたし、あのとき学んだプリントの技術はいま新商品作りに活かされているので、よかったなと思っています」

ところが澤染工に戻ったときには、「なんちゅうあかん会社に帰ってきたんや」と頭を抱えた。会社として利益は出ていたが、昔ながらのトップダウン経営で社員がなかなか定着しない。これでは受け継がれてきた技術が途絶えてしまうと、危機感を覚えた。

「僕らの使命は、100年、200年継続できる企業を作っていくこと。そのためには、いかに人を育てられるかが大事なのだと気付きました」

次代を担う若い人たちが、楽しんでものづくりができるように。そして、世界で活躍できるように。そんな想いを持って、澤さんは後進の育成に力を入れている。

自分で考え、チームで助け合う

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技術の習得は大変だが、支え合う仲間がいる

澤さんが心がけているのは、社員が自分たちで考え、協力して行動できるような組織づくりだ。

「うちでは基本的にチームで仕事をします。社内では2人以上で行動するのがルール。技術や状況は必ず共有し、よりよく出来る方法を皆で考えています」

問題が起こった時もチームで解決する。特に色合わせは一人で抱え込むと精神的な負担も大きい。良いことも大変なことも共有するからこそ、個人の成長も加速する。

「3年ぐらい経つと、自分で物事を動かせるようになっていく子が多いですね。技術的に面白くなってくるのは10年くらいでしょうか。僕が仕事が楽しくて仕方がなかったのはその頃でしたね」

澤染工には現在、各年代が6人ずつ満遍なく在籍しており、20代・30代の歳の近い先輩も多い。「技術が身につくまでは、みんなで育てる」という意識を社員たちは持っているというから、心強い。

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手で直接触ることで糸の状態を感じ取っていく

会社としては今後、テキスタイル創りにも力を入れていく予定だ。そこには、世界を舞台にものづくりをしていくために、これまで磨き上げてきた染色技術にとどまらず、テキスタイルまで一貫して手がけていきたいという想いがある。入社後はまず基礎的な染色技術を学んでいくが、その後は本人の希望に合わせていきたいと、澤さんは語る。

歴史と自然を感じられる琵琶湖畔の暮らし

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東近江市は近江商人発祥の地としても有名

東近江市には歴史的な風景が今も残り、近年は大河ドラマの舞台にもなっている。豊かな自然も魅力だ。

「うちは地下水で染色していますが、この地下水はそのまま飲めるくらい綺麗です。近くの川には天然記念物の魚も泳いでいますし、夏には蛍も飛び交いますよ」

一方で、澤染工の最寄駅であるJR「能登川駅」から京都までは乗り換えなしで約50分、東海道新幹線「米原駅」へも車で30分ほどと、都市部へのアクセスは良好。大型スーパーもあり、暮らしやすい環境だ。

「ここは小さい産地ですが、織物から服まで作れます。業界的に厳しい中でも『この産地は元気や』って言われるのは、産地で一貫したものづくりができるからでしょう」

今、その強みを活かして滋賀県をファッションの発信地にしようと、産地全体で力を入れている。麻織物とストリートカルチャーを掛け合わせて開発したTシャツは、クラウドファンディングで目標金額の10倍もの応援が集まった。

「最近、5社くらいの若い子たちが集まって、産地を盛り上げていくチームを立ち上げました。うちからも3人出ていますが、その子たちが活動しやすいように会社としても協力したいと思っています」

染めから織り、製品づくりまで。技術を学びながら、こだわりのものづくりに挑戦できる環境がここにはある。

おまけの話

「僕が伝えられるのは技術だけ。でも僕らみたいな年寄りは早く退いたほうがいいと、ほんまに思ってます」

若手の自主性をとにかく重んじている澤さん。採用面接をするときにも、若い社員を同席させるのだそうだ。

「その子らがね、ありのままを全部言うわけです。『ほんまに汚い』とか『こんな暑い現場で働きたいですか』とかね。極端なこと言いよるし、その場で僕がダメ出しされることもある。でもそれが結構面白くて」

若手が物怖じせずに発言できるのは、信頼関係が築けている証だ。ありのままを見せてくれるから、入社後のギャップも生まれにくいだろう。

面接のときには、気になることをぜひ率直に聞いてみてほしい。

取材・文章/細谷夏菜 写真/澤染工有限会社

求人情報

工房名:澤染工有限会社

働き方:
フルタイム(正社員)

給与:
月給220,000円
※試用期間なし

勤務地:
滋賀県東近江市小川町949

勤務時間:
8:00~17:00(休憩時間:1時間)

仕事内容:
【学ぶ】染色の基礎を習得
まずは、染色機械の操作や色の調合など、モノづくりの基本を先輩から学びます。
【究める】染色技術者へ
経験を積み、糸や生地に新たな価値を与えるプロの技術者として、生産の中核を担います。
【創造する】商品開発に挑戦
将来的には、アパレルブランドや自社ブランド(現在取組み中)に提案する新技術や新素材の開発にも携わっていただきます。

福利厚生:
社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険)
交通費等支給
住宅手当支給(一人暮らし)

休日休暇:
【年間休日:110日】
日曜・祝日、他(会社カレンダーによる)
※土曜出勤/春・夏は基本休み、秋・冬は月2日程度休み
GW、夏季休暇、年末年始休暇
有給休暇、慶弔休暇

求める人物像:
①経営理念「着る人の 美的好奇心を掻き立て 世界一のモノづくりに懸ける」という理念に共感できる人。
②ファッションに興味がある方、染色がしてみたい方、とにかく「モノづくり」に対して熱量の高い方を募集します。

募集期間:
2026年1月30日 〜 2026年3月29日

採用人数:
2名予定

選考プロセス:
書類選考
1次選考(面接と筆記)
最終面接
内定

・取得した個人情報は、採用選考にのみ使用します。
・選考プロセスは変更になる可能性があります。
・不採用理由についての問い合わせにはお答えできませんのでご了承ください。

その他:

HP:https://sawasenkou.com/
Instagram:https://www.instagram.com/dye_works_sawa/