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茶室から空港まで

空間を編み、世界を魅了する

秋田弁と笑顔が魅力の網代職人

滋賀県東近江市|竹六商店

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親方のこと

名前: 疋田雅道

職人名: 網代職人

地域: 滋賀県東近江市

工房名: 竹六商店

町のお気に入りスポット:
猪子山の散歩道

伝統と革新を融合し、新たな価値を創造

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天日干し中の竹材が印象的な工房入口

滋賀県東近江市の西部、のどかな田園風景の広がる福堂町に工房を構える竹六商店は、大正9年(1920年)創業以来、竹をはじめとした建築内装材の製造販売を手掛けている。

さまざまな加工技術の研究を重ね、竹を中心としながら、現在は紙や木材など多様な素材を組み合わせた建材づくりへと展開。空間の用途やデザインに応じた幅広い提案を行っている。

なかでも、職人の丁寧な手仕事によって生まれる「網代(あじろ)」は、施工のしやすさと美しい仕上がりを兼ね備えた代表的な製品だ。

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天井で取り入れられることが多い『網代天井』(施工事例:Agiro-Room 設計:傳寶慶子建築研究所 写真撮影:森本大助(フォトオフィスジュエ))

竹や木材を薄くスライスし、縦・横・斜めに組み合わせて編み込むことで、多彩な表情を生み出す伝統技術であり、かつては茶室や和室の天井、床の間、壁、家具の装飾として用いられてきた。

現在では、伝統文様に加え、継ぎ目のないフラットな仕上げや大面積にも対応し、和室にとどまらずホテルや商業施設など多様な空間に広がっている。

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網代を取り入れたインテリアは国内外でも需要大(現場:鮓みずき 設計施工:株式会社Reco 撮影:山田洋佑)

茶室や和室はもちろん、京都の「辻利」本店、キャセイパシフィック香港空港のラウンジなど、国内外のさまざまな空間を彩る竹六商店の網代。
伝統と技術、そして素材への深い理解が融合することで、今もなお新たな価値を生み出し続けている。

秋田で育まれた、素材を見る力

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網代作りを説明してくれる疋田さん

疋田雅道(ひきたまさみち)さんは秋田県出身。
父は網代職人として近所の工房で勤めたのち、事業を承継した。そのため、疋田さんも幼い頃から木が身近にある環境で育った。

高校卒業後は函館の大学に進学するも中退し、宮城県仙台市で、高級木材を扱う専門業者である銘木屋(めいぼくや)に勤めたのち秋田に戻り家業に入る。実は竹六商店に入社するまでは、網代製作には関わっておらず、原料となる丸太の入札や仕入れなど材料を見極める役割を担っていた。

「バブル期の少し前には住宅建築ラッシュがあって、ハウスメーカーが全国に日本家屋の建売住宅を建てたんです。住宅地が広がり、保育園ができ小学校ができ、それが街になった。和室に使われる網代の需要も一気に増加したんですよ」

しかし次第に注文住宅が増え、生活様式の変化により洋室化が進む。

「昔は、一軒の家には親戚が集まれるように和室が3〜4部屋はあった。それがフローリングへと変わって、キッチンやバスルームに予算が費やされるようになりました。天井や床間の装飾に使われていた網代は、贅沢品となってしまいました」

そして1995年阪神淡路対震災の被害を受け、2000年に建築基準法が大幅に改正。住宅事情の変化とともに網代の仕事も減少していった。

細部へのこだわりが美しい網代を生み出す

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網代を編む様子

そして2008年のリーマンショック、41歳だった疋田さんは仕事が立ち行かなくなり、廃業するつもりで当時取引のあった竹六商店の代表・田井中さんに電話した。

「骨を埋めるつもりなら、うちに来い」という田井中さんの言葉に背中を押され、翌年、竹六商店のある滋賀県東近江市へ移住する。

自然豊かで意外と便利な福堂町での暮らしには、すんなり溶け込めたそう。秋田と違うのは雪おろしがないことと筋子がないことくらいだという。

「もともと網代は、秋田の女性が冬の寒さが厳しい時期にしていた内職です。丸太を製材して中心を取って残った端材でちょっとしたものを作ったのが始まり。50年程前までは、稲刈りや田植え以外の閑散期、主に農家のお婆さんがやっていた内職なんですよ」

チラシで編んだカゴも網代なのだそう。決して難しい作業ではなく、いつでも誰でも始められる間口の広さも、魅力のひとつだ。

網代を極めていくには、自分で「作っては、見る」の繰り返しと疋田さんは語る。

「何百枚、何千枚と網代を作ってきたけど、言われたことをそのままやっているだけでは、そこで成長が止まってしまう。日々新たな仕事に向き合い製作を重ねていくことで、技術が磨かれていくんですよ。木の組み合わせの選び方や、差し込む方向を逆に入れるとそこだけ光の反射具合が変わるといったことです。『自分が作ったものにお金を出せるか?』が、最低ラインですね」

疋田さんの作る網代の美しさは、細部へのこだわりに宿っている。

技術の継承と進化する網代

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空間を彩る網代天井

かつて、秋田には網代職人がたくさんいた。竹六商店はもともと秋田にあった疋田さんの工房に網代の工程を外注し、社内には網代職人がいなかった。疋田さんが来たことで、規格外の大きなサイズや複雑なパターンにも対応できるようになり、今や網代の注文はあとを立たない。

「和室の天井板を支えるため、一定間隔で平行に配置される細長い木材や竹『竿縁(さおぶち)』が入ると和テイストになってしまう。現代では、竿縁のないフラットなひとつなぎの網代に見せる手法が主流。昔は部屋に合わせて45cmや90cmの幅で網代の継ぎ目を竿縁で隠していました」

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パート社員のOさんと並んで作業する

網代は多様な素材で作ることができる。竹六商店では、紙や檜、杉、ウォールナットなど木材が中心だ。原材料となる木材を仕入れ、乾燥させて水分を抜き、高熱のプレス機に入れる。注文に応じて木材を薄くスライスした「単板(たんぱん)」を職人の手で編み込み、下地の合板と組み合わせる。

建築業界は短納期が多い。急な要望にも対応できるよう、規格品のストックが必要になる。そのため注文製作の合間に、規格サイズを作る。納期が予定よりタイトになることもあるが、その要望に応えなければ次の仕事につながらない厳しい一面もある。しかし疋田さんはこう語る。

「施工後の写真を送ってもらったり、施工主から感謝の言葉を聞くと、この仕事をやっていて良かったなと思います」

個性を生かし、未来につなぐ

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パート社員のOさん

竹六商店には疋田さんの他にもう一人、パート社員のOさんが網代作業を担当している。

「若い人との仕事は、自分も元気になりますよ。Oさんのお母さんの方が自分と近い年代だから話題は一切合わないけど、気分的に老けていかねえ感じがするんだ。教えていても目に見えて成長が分かるのがうれしいですよ」

当初は四苦八苦悩みながら仕事をしていたOさんに、疋田さんはスマートフォンで自分の仕事を撮影するようアドバイスした。するとスピード上がり、仕上がりも綺麗になった。疋田さんは「それが楽しい」と言う。

「得意分野が見えてくると、それをやってもらいます。その作業が完璧になったらまた次のことを教える。Oさんはまだ来て半年ですが、2~3年のスパンで見ています。自分で作った商品を並べて、自分で気づかせます。次からは欠点を直して、より良い商品にできるように促すんですよ」

お客さんに納得してもらえるよう、とにかくいいもの作りたいと話す疋田さん。竹六商店の網代は、日本のみならず、NY、香港、ドバイなど世界各地に納入されている。

「新しく来る方には、網代だけでなく最初はいろんな作業を通して、まずは竹六の仕事を知ってもらいたい。そして狭い場所ではなく、広い空間でいろんな技術を持つ職人たちと交流しながら、連携して仕事してもらいたいです」

おまけの話

職場と自宅の往復が日常という疋田さん。自分は仕事が立て込んでいると気になり、休日でも仕事をしに工房に来てしまうのに、取材時に同席していた後輩の職人には、帰宅時間になると作業途中でも声をかけて帰らせようとする気遣いの一面も垣間見えた。「言葉は文化」と、今でも故郷の秋田弁を貫く職人然とした佇まいとは裏腹に、自分の子供ほど年の離れた職人にもからかわれたりと、実はとても親しみやすい。後輩のOさんにすすめられ、インタビューの途中に同僚がプレゼントしてくれたという名前入りTシャツに着替えてくれた。後輩とも、まるで仲の良い親子のように楽しそうに仕事をする姿に、思わず笑みがこぼれた。

取材・文章・撮影/Riko 写真提供/竹六商店

求人情報

工房名:株式会社 竹六商店

働き方:
フルタイム(正社員)

給与:
月給215,000円〜
※技能に応じて相談

勤務地:
滋賀県東近江市福堂町3448

勤務時間:
8:00〜17:30(休憩時間:1時間30分)

仕事内容:
【竹六商店の網代製造に関わる各種業務を担当していただきます】
網代製造は、素材の見極めから仕上げまで一貫して携わる職人仕事です。
木工加工や付属品製作など、幅広い技術を身につけながら成長できる環境です。

・網代の製造
仕入れた材料の整理から網代の製作まで、一連の工程を担当していただきます。
・木工機械を用いた付属製品の製作
お客様のご依頼内容によっては、木材の加工が必要になる場合があります。
木工機械の扱いに長けた職人が多数在籍しており、しっかりフォローしますのでご安心ください。
・その他製品の製作サポート
基本は網代製造が中心ですが、状況に応じて周囲のメンバーと協力し、加工工程をサポートしていただく場合があります。

福利厚生:
社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険)
交通費支給

休日休暇:
【年間休日:110日】2026年実績
日曜・祝日、他(会社カレンダーによる)※土曜出勤(会社カレンダーによる)
GW、夏季休暇、年末年始休暇、有給休暇、慶弔休暇

求める人物像:
様々な種類の網代を製作することが主な業務です。
同じ樹種でも、育った環境や切り出した部位によって表情は大きく変わります。
その違いを観察し、自ら考えて工夫しながら素材を使いこなすことに挑戦できる方を歓迎します。

お客様のご要望によっては、現場での作業をお願いする場合があります。
実際の使用環境や雰囲気を知る貴重な機会でもありますので、現場作業にも前向きに取り組める方が向いています。

社内には様々な分野の職人が在籍しています。
お互いにコミュニケーションを取りながらフォローし合い、協力して仕事を進められる方を歓迎します。

募集期間:
2026年5月26日 〜 2026年7月20日

採用人数:
1名予定

選考プロセス:
書類選考
1次面接(面接と簡単な実技)
最終面接
内定

・取得した個人情報は、採用選考にのみ使用します。
・選考プロセスは変更になる可能性があります。
・不採用理由についての問い合わせにはお答えできませんのでご了承ください。

その他:

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